おいしいねぇ
2011.10.31
こんばんは KSSの原です。
今日は記憶の話を。
私の祖母は数年前に他界しました。90歳くらいだったと思います。
いつでもニコニコしていた優しい祖母でした。
そんな祖母も他界する前の数年は認知症がすすみ、施設に入っていました。
もうその時の祖母は、既に実の息子・娘さえもよくわからなくなっていました。
それでもそんな祖母に会いに、私の母は毎週施設を訪れます。
母はいつもこっそり甘い和菓子を祖母に食べさせてあげていました。
祖母は母にこう言います。
「おいしいねぇー。こんなおいしいもの食べたことないよ。ありがとう。」 って。
持っていってる和菓子は普通のお饅頭で、特別なものではないんです。
きっと今までに食べたことのある味です。
前回と同じものをあげたりもします。
でも祖母は毎回言うんですよね。しかも満面の笑みで。
「おいしいねぇー。こんなおいしいもの食べたことないよ。ありがとう」 って。
きっと記憶にとどめておくことができないんでしょうね。
今までに何回も食べた事のあるお饅頭のはずなのに。
毎回,、本当に幸せそうな顔をして食べていたそうです。
そんな顔をして食べる祖母をみて、母も毎回嬉しくなっていたそうです。
心の中からでてくる純粋な表情って素敵ですよね。
人の記憶は曖昧です。
時には事実と異なることが記憶として残っていくこともあります。
記憶はなくしたくないと誰もが思うでしょう。
でもこんな風に毎回幸せを感じれる記憶のなくし方なら、
アリなのかもしれませんね。
このブログを書きながら、また目頭が熱くなってきました。
おばあちゃん、ありがとう。