相続全体の流れ
相続が発生した後は、通夜・葬儀・法要、お香典返し、納骨、挨拶状の作成など仕事がたくさんあり、どれも大切なので手を抜くわけにはいきません。
これらをこなすのに相当な気遣いと時間を費やしますし、同時に相続手続きについても進めていく必要があります。
相続手続きには、市役所、銀行、法務局等にあらゆる申請をすることになり、大変な作業となりますので、きちんと把握することが最も重要です。
相続の流れ | 注意点 |
---|---|
死亡(相続開始) 葬儀の準備・死亡届の提出 | 死亡届の提出期限は7日以内 |
葬儀 |
初七日法要 遺言書の有無の確認 | 遺言書は家庭裁判所の検認 ※公正証書遺言は検認不要 |
四九日法要 相続財産・債務の概略調査 | 相続放棄・限定承認の検討 (期間は3ヶ月以内) |
相続放棄・限定承認の手続き 相続人の確認 | 戸籍を取り寄せて調べます |
所得税の申告と納付 (4ヶ月以内) 相続財産・債務の調査 相続財産の評価 | 相続財産目録の作成 |
遺産分割協議 (49日をめどに始める) 遺産分割を協議 | 相続人全員の実印と印鑑証明 納税の方法、延納・物納の検討 |
相続税の納付 (10ヶ月以内) | 税務署に申告・納税 |
遺産の名義変更手続 | 不動産の相続登記など |
各種届出について
相続が発生したら、下記項目の手続きをそれぞれ期限までに行わなければなりません。
手続き・届出 | 手続き・届出の窓口 | 期限 | 必要書類 |
死亡届(戸籍) | 故人の本籍地・住所地・死亡地・届出人の住所地の市区町村役場 | 7日以内 | 死亡診断書 |
火(埋)葬許可/証交付申請 | 死亡届と同じ市区町村役場 | 7日以内 | 死亡届と同時に |
世帯主変更届 (住民票) | 住所地の市町村役場 | 14日以内 | 印鑑/国民健康保険証 |
準確定申告 被相続人の確定申告 | 被相続人の住所地の税務署 | 4ヶ月以内 | 確定申告書/その他申告書類 |
運転免許証返却 | 住所地管轄の警察署 | 速やかに | 運転免許証 |
健康保険証返却 健康保険停止・変更 | 国民健康保険:住所地の市区町村役場 健康保険:勤務先・社会保険事務所 | 速やかに | 健康保険証被保険者資格喪失届 |
年金手帳返却 年金停止 | 国民年金:住所地の市町村役場厚生 共済年金:社会保険事務所 | 速やかに | 年金手帳死亡診断書戸籍謄本 |
死亡退職届 (在職中の場合) | 勤務先 | 速やかに | 特になし |
身分証明書返却 | 勤務先 | 速やかに | 特になし |
財産を相続する
1.法定相続とは
法定相続とは、民法で規定された相続のことを言います。
亡くなられた方が遺言書で財産の分割方法を指定していない場合には、法律で定められた相続分を決定します。
ですが、必ず法定相続に基づいて相続を決定するわけではありません。
○遺言書で法定相続人以外の人にも財産を譲ることが出来ます。
※ただし、配偶者、子、直系尊属には遺留分というものがあり一定の財産が保護されていますので注意が必要です。
○話し合いで相続分を法定相続とは別に決めることも出来ます。
2.法定相続人とは
法定相続人とは、民法に規定されている相続人となる権利を持つ人のことです。
以下の人が法定相続人になると規定されています。
(1) 配偶者(夫からみれば妻、妻からみれば夫)
ただし、婚姻の届出をしていない内縁の妻や、愛人には相続権はありませんのでご注意ください。
(2)子供(=実子)、養子、内縁の妻や愛人の子供、胎児、
あるいは孫、ひ孫
これらの人を法律上、直系卑属(ひぞく)といいます。
子供については、民法上、実子、養子が何人いても法定相続人となります。
しかし、相続税法上の各種特別措置を適用することのできる法定相続人には、
養子の数に制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は
2人までしか適用が認められません。
(3) 父と母、あるいは、祖父母
子供や養子(直系卑属)が誰もいないときに、相続人になることができます。
父と母がいないときは、祖父母が相続人になります。
これらの人を直系尊属といいます。
(4) 兄弟姉妹、あるいはその子供
子供(養子を含む)、父及び母がいないときにはじめて相続人となります。
以上が法定相続人となる可能性のある人です。
これらの人は法律で相続順位が決まっており、順位の高い人から相続人となり、順位の低い人は自分よりも順位の高い人がいない場合に相続人となれます。
3.相続の優先順位について
配偶者・・・ | 常に相続権があり、相続順位はありません。 |
直系卑属・・・ | 第1順位の相続人。子供は常に相続人となります |
直系尊属・・・ | 第2順位の相続人。第1順位の相続人(子供等)がいないときに相続権があります。 |
兄弟姉妹・・・ | 第3順位の相続人。第1、2順位の相続人(子供等、両親等)がいないときに相続権があります |
以上のように、上位の相続順位の人が相続人となり、
下位の人は上位の人がいると相続権はありません。
4.相続分について
民法で定められた相続財産の分配方法を「法定相続分」といいます。
法定相続分は相続人の構成により、異なる分配方法が定められています。
上記のような配分が定められていますが、
この通りの配分でなくとも問題ありません。
まずは遺言書の内容が最優先です。
次に、相続人全員の話し合い(遺産分割協議と言います)により決められた配分方法が優先されます。