2012.4.10 S様より

S様より、母が亡くなり、相続手続きを依頼したいとのこと。預金の相続のみで、節税対策についてもアドバイスがほしいとのこと。ご来所予定。

2012.4.10 相続税の申告

相続税の申告と納付は、相続の開始があったことを知った日(死亡日)の翌日から10か月以内に、亡くなった方の死亡した時における住所地を所轄する税務署に対して行います。

相続人間で遺産分割の話合いが申告期限までにまとならなかった場合には、その未分割財産については、いったん各相続人が法定相続分で相続したものとして申告し、その後分割がまとまったときに申告をし直すこととなります。

また、申告期限までに無申告の場合には、加算税や延滞税がかかることになります。

相続税額計算における各種控除制度

1.贈与税額控除

相続の開始前3年以内に贈与された財産については、相続財産に加算(生前贈与加算)して相続税額を計算しますが、その贈与時に贈与税を納付している場合には「相続税」と「贈与税」の二重課税を排除するため、その贈与税額を相続税額から控除します。

2.配偶者の税額軽減

配偶者の相続した財産が法定相続分(2分の1)以下である場合、又は1億6000万円以下である場合には、配偶者の納付税額はゼロとなります。

この制度の適用を受けるには、原則として申告期限までに遺産分割が確定し申告書を提出する必要があります。

尚、申告期限までに未分割の財産については、申告期限から3年以内に分割が確定した場合には、一定の手続によりこの制度の適用を受けることができます。

3.未成年者控除

法定相続人が20歳未満である場合には、その相続人の相続税額から6万円にその相続人が20歳に達するまでの年数(その年数に1年未満の端数がある場合にはこれを1年とする)を乗じて計算した額を控除します。

未成年者控除額=6万円×(20歳-相続開始時の年齢)

4.障害者控除

法定相続人に障害者がある場合には、その相続人の相続税額から6万円(特別障害者である場合には12万円)にその相続人が85歳に達するまでの年数(その年数に1年未満の端数がある場合にはこれを1年とする)を乗じて計算した額を控除します。

一般障害者控除額= 6万円×(85歳-相続開始時の年齢)
特別障害者控除額=12万円×(85歳-相続開始時の年齢)

5.相次相続控除

前回の相続から今回の相続までの期間が10年以内である場合に、相次ぐ相続により同一の財産に対する短期課税の緩和措置として、前回の相続により納付した相続税額のうち一定額を今回の相続税額から控除します。

6.外国税額控除

相続により国外にある財産を取得し、その財産についてその外国の相続税が課税される場合には、国際間の二重課税を調整するため、納付すべき相続税額から一定の税額を控除します。

2012.4.10 相続税計算のしくみ(1) ~相続税の対象となる金額~

相続税の対象となる金額は、下記の図のようにして求められます。

「プラスの財産」から、「マイナスの財産」・「葬式費用等」・「非課税財産」を引き、残った正味の財産から「基礎控除額」を控除して、残った金額が相続税の対象となる金額(課税遺産総額)となります。

この金額が0であれば相続税は発生しません。

では、それぞれの財産を具体的にご説明します。

(1)プラスの財産

種類具体例
不動産家屋、構築物、土地
(土地の上に存する権利を含む)
現金・預貯金現金、普通預金、定期預金、郵便貯金、
定期積金 等
有価証券株式、出資、公債(国債・地方債)、
社債、証券投資信託 等
家庭用財産家具、電話加入権、書画、骨董品、宝石 等
事業用財産機械装置、商品・製品、特許権・商標権
売掛金、貸付金 等
その他車両、立竹木、貸付金、ゴルフ会員権、
未収の配当金 等
★みなし財産死亡保険金等、退職手当金等
(一定の金額までは非課税)

(2)マイナスの財産

借入金・未払いの費用(税金・医療費等)等

(4)非課税財産

その財産の性格を考えた場合、国民感情や公益性・社会政策的な見地から課税することが好ましくないものを非課税財産といいます

具体例

墓地や墓石、仏壇、仏具、祭具 等
生命保険金のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
退職手当金のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
(一定条件のもと)国・地方自治体・特定の公益法人に寄付した財産 他

(5)遺産額

(5)遺産額=(1)プラスの財産-(2)マイナスの財産-((3)葬式費用等)-(4)非課税財産

(6)基礎控除額

★基礎控除額:3000万円+(600万円×法定相続人の数)

(7)課税遺産総額

(7)課税遺産総額=(5)遺産額-(6)基礎控除額

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