2012.4.10 相続税計算のしくみ(2) ~相続税の計算方法~
次にさきほど求めた(6)課税遺産総額を使い、具体的な相続税の額を求めます。
1.まず相続税の総額を一旦計算します
具体例でご説明しましょう!
例:相続税の課税対象額が8000万円で、法定相続人妻と子供2人の場合
※相続税の総額は、実際は誰がいくら相続したかに関わらず、恣意性を排除するため、法定どうりの割合で相続したものと仮定して計算します。
2.次に各人毎の納付税額を計算します
具体例でご説明しましょう!
例:相続税額の総額が900万円で、実際には遺産を妻が1/3、子が1/2、(被相続人の)妹が1/6取得する場合
※1 配偶者の税額軽減制度
配偶者は被相続人と共に支えあい生活をして、被相続人の財産形成に大きな役割をはたしてきました。
その配偶者の老後の生活を保障するためにも配偶者の支払う相続税については特別に認められた控除があります。
その控除とは以下の金額になります。
A.配偶者の法定相続分 | AかBのいずれか大きい金額 |
B.1億6000万円 (相続税の配偶者控除額) |
つまり、被相続人の配偶者は相続した遺産額が自分の法定相続分以内であれば、いくら相続しても相続税は発生しません。
また、法定相続分を超えて相続したとしても、その相続した金額が1億6000万円までなら相続税は発生しません。
※2 相続税の2割加算制度
次に当てはまる人は、その人の相続税額の2割に相当する金額が相続税額に加算されます。
(1)被相続人の1親等の血族 (父母または子※) | 以外の人 |
(2)被相続人の配偶者 |
※(1)の「子」には代襲相続人も含まれます
つまり、被相続人の子を飛びこえて孫が直接相続したり、被相続人の兄弟姉妹が相続した場合には相続税は2割増しとなります。
2012.4.10 相続税早見表
相続税がどれくらいかかるのかと疑問に思われる方も多いかと思います。
下記の相続税早見表でおおまかな相続税額をご確認下さい。
配偶者がいる場合
※ | 子供が0人の場合は、両親または兄弟が相続人となる為、別途ご相談下さい。 |
※ | この表は、配偶者が遺産の2分の1を取得した場合の計算です。 |
※ | 税額控除は、配偶者の税額軽減以外にはないものとしました。 |
配偶者がいない場合
※ | 子供が0人の場合は、両親または兄弟が相続人となる為、別途ご相談下さい。 |
※ | 法定相続人の中に相続を放棄した者があるときは、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数。 |
※ | 養子がある場合には、養子の数は、実子がある場合には1人、実子がない場合には2人に制限されます。 (ただし、税負担回避の養子は認められません。) |
※ | 負担率は小数点以下、税額は1万円未満を四捨五入しました。 |
2012.4.10 小規模宅地の特例
小規模宅地の特例とは
遺産のなかに、被相続人が自宅として住んでいたり、事業の用に供していた宅地等については、その土地が被相続人の生活の基盤になっていたことなどに考慮して、相続税の課税価格の計算上、宅地の評価額を一定割合で減額することができます。
つまり、この制度が利用できた場合、遺産としてのその土地の評価額が低くなるため、相続税が課税せずに済む(基礎控除額以下になる)、あるいは、相続税が押えられる場合があります。
宅地の種類 | 減額割合 | 特例対象面積 |
(1)特定居住用宅地 | 80% | 330m2 |
(2)特定事業用宅地 | 80% | 400m2 |
(3)不動産の貸付業の宅地 | 50% | 200m2 |
(1)特定居住用宅地等
区分 | 特例の適用要件 | |
取得者 | 要件 | |
被相続人の居住の用に供されていた宅地等 | 被相続人の配偶者 | 要件はありません |
被相続人の同居親族 | 相続開始時から相続税の申告期限までに、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人 | |
被相続人と同居していない親族 | 被相続人の配偶者又は相続開始前に被相続人と同居していた一定の親族がいない場合には、被相続人の親族で、相続開始前3年以内に本人又は本人の配偶者の持ち家に居住したことのない者で、かつ、相続開始時から相続税の申告期限までその宅地等を有している人 | |
被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた宅地等 | 被相続人の配偶者 | 要件はありません |
被相続人と生計を一にしていた親族 | 相続開始時から相続税の申告期限までに、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人 |
(2)特定事業用宅地等
区分 | 特例の適用要件 |
被相続人の事業の用に供されていた宅地等 | 被相続人の事業を相続開始時から相続税の申告期限までに承継し、申告期限までに引き続きその宅地等を有し、かつ、その事業を営んでいること |
被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用に供されていた宅地等 | 相続開始時から相続税の申告期限まで、その親族がその宅地等を自己の事業の用に供し、かつ、引き続きその宅地等を有していること |
(3)貸付事業用宅地等
区分 | 特例の適用要件 |
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等 | 被相続人の貸付事業を相続開始時から相続税の申告期限までに承継し、申告期限までに引き続きその宅地等を有し、かつ、その事業を営んでいること |
被相続人と生計を一にしていた親族の貸付事業の用に供されていた宅地等 | 相続開始時から相続税の申告期限まで、その親族がその宅地等を自己の貸付事業の用に供し、かつ、引き続きその宅地等を有していること |
平成22年3月31日以前に開始した相続については、小規模宅地の特例について取扱が異なる場合がありますので、詳細については税理士等にご確認ください。