2010.1.20 相続人と遺留分について
遺留分とは
被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の遺産をもらえる権利があります。
このように最低限もらえる遺産の一定部分を「遺留分」といいます。
被相続人は、生前贈与や遺言により財産を自由に処分することが出来ますが、この遺留分により財産の処分が制限されることとなります。
遺留分の権利者は
遺留分の権利があるのは次の相続人です。
- 配偶者
- 子・孫及びその世襲者
- 父母・祖父母等の直系尊属
相続財産に対する各相続人の遺留分
(相続人が) 配偶者のみ | 2分の1 | |
(相続人が) 配偶者と子 | 配偶者 | 4分の1 |
子 | 4分の1 (配偶者が死亡している場合は子が2分の1) | |
(相続人が) 配偶者と父母 | 配偶者 | 3分の1 |
父母 | 6分の1 (配偶者が死亡している場合は父母が3分の1) | |
(相続人が) 配偶者と祖父母 | 配偶者 | 2分の1 |
祖父母 | 遺留分なし |
遺留分減殺請求とは
遺留分が侵害された場合、相続人は遺留分減殺請求権を行使して、自分のもらうべき遺産を返すように求めることができます。
この権利を行使するかどうかは相続人の自由となります。
夫がすべての財産(2000万円)を愛人に遺贈した場合、相続人が妻だけだとすると、妻は、遺留分の減殺請求権を行使して、遺産の1/2に相当する金額(1000万円)を愛人に請求することができます。
遺留分を考慮
遺留分は相続人が最低限もらえる遺産の一定部分です。
その遺留分を侵害した遺言書を作成すると、遺留分の減殺請求が行われ、紛争になる可能性があります。
残された遺族が遺産をめぐり争わないためにも、遺留分を考慮した遺言書の作成が必要です。
2010.1.20 不動産の名義変更(相続登記)
相続が起こった場合、被相続人名義の不動産登記簿を相続人名義に変える手続きが必要となります。
不動産の名義変更は「いつまでにしなければならない」という期限のあるものではありませんが放っておくと思わぬトラブルに
発展していきます。
■不動産の名義変更をしないとどうなるか?
- 当初の相続人の死亡により相続人がどんどん増え、話し合いが難しくなりトラブルに発展する可能性が高くなる
- 登記に必要な書類に保存期間の定められているものがあり、取れない書類がでてくる
- 当初の相続人の死亡により、その死亡した相続人に関する戸籍などの書類が必要となり、集める書類が増える
おおまかな手続きの流れ
必要書類の取集
↓
登申請書・相続関係図の作成
↓
申請書・相続関係図の作成
↓
登記申請
ひとくちに不動産の名義変更といってもすべてが同じ手続きではありません。
つぎの3つのケースがあります。
(1)法定相続分による名義変更(相続登記)
相続人全員で法定相続分どおりに相続登記をするケースです。
話し合いの前に法定相続分による相続登記をすることができます。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など
- 被相続人の最後の住所を証する書面(住民票の除票、戸籍の附票など)
- 法定相続人の戸籍謄本
- 相続人の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 相続関係説明図(作成)
(2)遺産分割協議により不動産の名義変更(相続登記)をする場合
だれがどの不動産を相続するのか、相続人全員で分割協議をし、相続登記をするケースです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など
- 被相続人の最後の住所を証する書面(住民票の除票、戸籍の附票など)
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 法定相続人の印鑑証明書
- 遺産分割協議書(作成)
- 相続関係説明図(作成)
(3)遺言書による不動産の名義変更(相続登記)をする場合
遺言書に従って不動産を取得する相続人が相続登記をするケースです。
【必要書類】
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など
- 被相続人の最後の住所を証する書面(住民票の除票、戸籍の附票など)
- 不動産相続人の戸籍謄本
- 不動産相続人の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 法定相続人の印鑑証明書
- 相続関係説明図(作成)
- 遺言書
提出した書類に不備がなければ1週間くらいで登記が完了し、不動産の名義が変更されます。
■登録免許税
登記申請をする際には登録免許税という税金を納めます。
固定資産税評価額の0.4%(4/1000)で、通常、申請書に収入印紙を貼ります。
一つの土地を複数の相続人が相続し、土地をわけて所有する場合には、複数の土地に分ける「土地分筆登記」が必要になります。
相続の登記申請は分筆後に行うこととなります。
2010.1.20 寄与分
相続の公平性を保つために、
相続人の中に、被相続人に対し特別な働きをした者がいれば、その相続人の相続分には寄与分が加算されます。
寄与が認められるケースとして、
- 被相続人の事業を手伝っていた
- 被相続人の事業に資金を提供し、それにより事業が発展した
- 病気の被相続人の世話をして、看護費用が節約できた
が該当しますが、寄与分は算定が難しく、争いのもとになりがちです。
家庭裁判所の遺産分割調停では、寄与分がよく主張されますが、一般的には、寄与分を取り下げて調停が成立する場合が多いのが現状です。