2010.1.20 アパート建築について

なぜアパート建築が節税になるか?

実は、現金の場合は、そのままの金額が相続財産になりますが、
賃貸用の不動産は、時価よりも低い金額が相続財産となります。

これは相続財産の評価方法が、財産の種類によって異なることによって
生じます。 

 

例えば現金で1億円持っていたとすると、相続財産はそのまま1億円に
なります。
一方、1億円の借入をし、時価2億円の賃貸アパート1棟を購入した場合、
相続財産は、3,400万円程度になります。

 

評価額の計算方法

時価2億円アパート1棟を所有し、借入金が1億円ですから、
正味の財産は時価1億円になります。
どうして時価2億円の賃貸アパート1棟の評価額が、
1億3,400万円になるのでしょうか?

例えば、賃貸アパート1棟の土地が1億円、建物が1億円と仮定します。

 

土 地

土地の時価は、路線価を用いて計算します。

自宅など自用地の場合には、路線価がほぼそのまま相続税評価額になります。

一方、賃貸アパート(マンション)の敷地の場合は、貸家建付地と言われて、
更地価格×(1-借地権割合×借家権割合) がその評価額になります。

 

借家権割合は、30%ですから、借地権割合が50%の地域ですと、
アパートの敷地(貸家建付地)の評価額は、(1-0.5×0.3=0.85)で、
路線価の85%になります。

 

時価(路線価)が1億円としても、相続税評価額は、自用地の85%で
評価されますので、8,500万円になります。

 

建 物

建物の相続税評価額は、自用(自分で使用すること)の場合、
固定資産税評価額になります。

固定資産税評価額は、一般に建築費の70%程度になります。

 

一方、アパートのような貸家の場合は、
借家権割合30%を控除(1-0.3=0.7)しますので、
固定資産税評価額よりさらに30%を差し引きます。

 

したがって、建築費1億円の賃貸アパート(マンション)の評価額は、 、
1億円×0.7×0.7=4,900万円になります。

 

つまり、土地が8,500万円、建物が4,900万円ですから、
合計で1億3400万円の評価額になります。

 

賃貸アパート1棟は時価2億円より評価額が6,600万円も
下がったということになります。

2010.1.20 相続税対策5つのポイント

ポイントその1 生前贈与をして財産を減らしておく

財産を自分の名義で持ち続けていれば、いずれ自分が死んだ時には当然ながらまるまる相続税の課税対象になります。

そのため生前に手放せるものは手放した方が相続税は下がります。
子供や孫に生前贈与して、財産を減らすというのは多くの方がやられている方法です。

贈与税は高い、という先入観があるものですが、年間110万円までの基礎控除があります。
またこの他にも活用できる特例は色々あります。
ただし相続が発生した時点から3年以内に贈与されたものは、相続税の対象なってしまいます。
ですから、なるべく早く生前贈与をはじめることをお勧めします。

【注意点】
「特定の相続人に資産の大半を生前贈与してしまう」ことは、相続の際の遺産分割において紛争のもとになりかねません。
しっかりとした贈与計画のもと進める必要があります。

ポイントその2 所有財産の評価額を下げる

土地や建物は、利用状況に応じて財産評価基本通達により評価減があります。

更地で土地を持っている場合は、建物を建てることで相続税評価額を大きく下げることができます。

アパートが建っていると、何も建てていない更地の状態に比べ、約80%の評価になります。
つまり土地評価額20%オフということです(売買をするときには損になりますが、相続だけを考えると得になります)。

建物は、固定資産税としての評価額がそのまま相続税の評価額になり、建築費の60%まで下がるといわれています。
これが木造アパートだとさらに評価額がダウン、大きな節税効果が得られます。

多くの地主さんがとっている典型的な相続税対策です。
所得税、固定資産税の節税にもつながります。

【注意点】
賃貸物件は、管理に関して手間も費用もかかりますし、文中に記載した通り、使用が制限されるため、売買の際には不利に働くこともあります。
また、「ポイントその3」にも関係しますが、借入をおこして建築する場合は、当然のこととして「借入金の返済」が必要となってきます。
この対策を実行するうえで、「将来を見越して、いかに収益性の高い物件を建てることができるか」がとても重要な検討課題となってきます。

ポイントその3 返済可能な借金を多く作る

借入金の残額は全額債務控除となるので、相続税を大きく減額する効果があります。

更地に建物を建てる時に借金をすると、さらに効果的な相続税対策となります。
ただしその借金は返済可能なものでないと、返済に苦労することになってしまうので注意が必要です。

ポイントその4 相続人を増やして税率区分を下げる

相続税は相続人を増やして、一人当たりの相続額を少なくし、低い税率区分にあてはまれば、納税額をがくんと減らすことができます。

また相続人が一人増えるごとに基礎控除額が600万円追加されます
つまり、相続人の数を増やすことで全体の相続税を減らすことができるのです。

どうやって相続人を増やすかというと、「養子縁組制度」を活用します
養子縁組をすることで、相続人の相続分が細分化されます。
民法上は、養子縁組は何人でも可能ですが、相続税法では、実子がいる場合には養子は何人いてもまとめて一人になり、600万円の基礎控除額の加算が認められます。
実子がいない場合は2人まで認められ、基礎控除額は1200万円になります。

このほかにも、生命保険と退職金の非課税枠(法定相続人一人500万円)が増えます。

【注意点】
「法定相続人が増える」ということは「遺産をもらう権利のある人が増える」ということです。
言い換えると「遺産分割でもめる可能性も増える」ということになります。
遺言等を活用し、「遺産分割対策」をしておく必要があります。

ポイントその5 納税資金として生命保険と自己株式を活用する

ポイント1~4を実践しても多額の税金がかかってくる場合もあります。

そこで地主さんの場合、納税資金にあてる目的で大口の生命保険に加入するのが一般的です。

相続が発生するとすぐに現金が用意できますし、保険の掛け金を払うことで、相続財産を減らすことにもなります。

また、会社を経営している場合は、会社の株式を活用するという方法もあります。
会社の内容が優良であればあるほど株価も高くなりますし、その高い株価に対して相続税が課税されてしまいます。
また、未上場会社の場合は、一般市場性のない株式ですから、売りたくても売ることができません。

これについては商法の改正により、自分がオーナーであった会社に一定量の株式を買わせることができるようになりました。
つまり、株式を相続した遺族がその株式を会社に売却し、その売却資金を使って、納税を行うということが可能になったのです。

2010.1.20 法定相続とは

法定相続とは

法定相続とは、遺言で相続分を指定していない場合の相続のことを言います。
遺言書がなく、相続人の間での協議(遺産分割協議)が付かない場合には、法律で定められた相続分に基づいて決定します

遺言で法定相続人以外の人に財産を譲ることができたり、相続分を法定相続とは別に決めることもできます
ただし、法定相続人の一定の人には遺留分というものがあり保護されていますので注意が必要です。

法定相続人とは

法定相続人とは、被相続人(=相続される人)が亡くなったときに、相続する権利がある人のことです。
この権利は、法律で定められており、以下の人が法定相続人になることができます。

1. 配偶者(夫からみれば妻、妻からみれば夫)

ただし、婚姻関係のない内縁の妻や、愛人には相続権はありません。

2. 子供(=実子)、養子、内縁の妻や愛人の子供、胎児、あるいは孫、ひ孫

これらの人を直系卑属(ひぞく)といいます。
子供、養子が何人いても、民法上は全て法定相続人とみなします。
ただし、相続税法上の各種特典を受けることのできる法定相続人には、養子の数についての制限があり、実子がいる場合は一人、実子がいない場合は二人までしか認められません。

養子については、相続税法上では被相続人に子供がいる場合、法定相続人としては1人だけが認められます。
子供がいない場合は、2人までが認められます。

3. 父と母、あるいは、祖父母

子供や養子(直系卑属)が誰もいないときに、相続人になることができます。
父と母がいないときは、祖父母が相続人になります。
これらの人を直系尊属といいます。

4. 兄弟姉妹、あるいはその子供

子供や養子(直系卑属)及び父や母(直系尊属)がいないときにはじめて相続人となることができます。

以上が法定相続人となることができる人です。
遺産を相続する場合には、法律で相続順位が定められており、相続の有無はこの順位が優先されます。

相続の優先順位について

配偶者・・・相続順位はなく、常に相続権があります。
直系卑属・・・第1順位。配偶者と同様で、常に相続権があります。
直系尊属・・・第2順位。第1順位の相続人がいないときに相続権があります。
兄弟姉妹・・・第3順位。第1、2順位の相続人がいないときに相続権があります。

このように、上位の相続順位の人がいるときは、下位の人には相続権はありません。

相続分について

法で定められた相続財産の分配を「法定相続分」といいます。
法定相続分は相続人の構成状況によって、以下のとおりと定められています。

相続配分について

法律では、上記のとおりの配分が定められていますが、法定相続分どおりの配分方法でなくとも問題ありません。
まず、遺言が最優先されます。
次に、相続人全員が話し合って(遺産分割協議によって)決めた配分方法も法定相続分に優先します。

 

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