遺言書を作成するには

遺言書作成のメリット

遺言書を作成することのメリットは大きく分けて2つあります。

1つ目は自分が死んだ後親族間での争いが生じにくくなるということです。
原則として、遺言書の内容どおり遺産を分配しなければならないからです。 

2つめは自分の思い通りに財産を分配することができるということです。
遺言書がなければ民法で定められた法定相続分にしたがって遺産が分配されることになります。
場合によっては、財産を渡したくなかった人に対しても多大な財産がその人の手元にわたることになります。

遺言書作成のポイント

相続には少なからずいざこざが生まれます。

遺言は、一生懸命働いて築き上げてきた財産を円滑に相続するための最善の方法です。
長い間、人生を共にしてきた人への最後の仕事といえます。 

遺言書作成には法的要件が求められます。

遺言を書くには一定のルールがあり、そのルールに従って遺言書を作成しなければなりません。
ルールが守られていない遺言書は無効になってしまいます。

またルールはしっかり守られていても内容が曖昧であったり、色々な意味に解釈できてしまう場合には争いの原因になることがあります。

遺言というと「縁起でもない」「暗い感じがする」といったイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、遺言書がなく、相続人同士が争いになったり、親族の関係が悪化したりというケースも数多く見られます。

家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割の争いの3分の2は遺言を書いておけば防げたものであると言われています。
遺言書を書くというのは、財産を持つ者の義務といっても過言ではありません。

遺言書の種類

遺言書には3つの種類があります。

自筆証書遺言

本人が遺言書を作成するものです。
遺言の内容・日付・指名を書き、押印します。
この場合ワープロやテープは認められません。
遺言書が複数ある場合には最も日付が新しいものが優先されます。

自筆証書遺言には、証人の必要はありません。
遺言を秘密にできるというメリットはありますが、紛失や偽造の危険性があります。

自分自身で作成すれば、費用はかかりませんが方式不備等により無効になってしまう可能性はあります。
また検認手続きが必要となります。

公正証書遺言

本人が口述し、公証人が筆記します。
印鑑証明書・身元確認の資料・相続人等の戸籍謄本、登記簿謄本が必要になります。
自筆証書遺言と違い、偽造される危険性は極めて少なく、証拠能力も高いですが、作成手続きが煩雑になりやすい・遺言を秘密にできない・費用がかかる等のデメリットがあります。 

また公正証書遺言には、2人以上の証人立会いが必要となります。
検認手続きは不要です。

秘密証書遺言

本人が作成した遺言書に署名捺印をして遺言書を封じます。
その際に、遺言書に使用したものと同じ印で封印をします。そして、公証人にこの遺言書は遺言者のものであるという確認を封筒に署名してもらう方法です。

遺言書の存在が明確であり、偽造の危険性は極めて低くなります。
遺言の内容も秘密にすることができます。

デメリットとしては作成の手続きが煩雑になりやすいことや費用がかかってしまうことが挙げられます。

 

相続税対策5つのポイント

ポイントその1 生前贈与をして財産を減らしておく

財産を自分の名義で持ち続けていれば、いずれ自分が死んだ時には当然ながらまるまる相続税の課税対象になります。

そのため生前に手放せるものは手放した方が相続税は下がります。
子供や孫に生前贈与して、財産を減らすというのは多くの方がやられている方法です。

贈与税は高い、という先入観があるものですが、年間110万円までの基礎控除があります。
またこの他にも活用できる特例は色々あります。
ただし相続が発生した時点から3年以内に贈与されたものは、相続税の対象なってしまいます。
ですから、なるべく早く生前贈与をはじめることをお勧めします。

【注意点】
「特定の相続人に資産の大半を生前贈与してしまう」ことは、相続の際の遺産分割において紛争のもとになりかねません。
しっかりとした贈与計画のもと進める必要があります。

ポイントその2 所有財産の評価額を下げる

土地や建物は、利用状況に応じて財産評価基本通達により評価減があります。

更地で土地を持っている場合は、建物を建てることで相続税評価額を大きく下げることができます。

アパートが建っていると、何も建てていない更地の状態に比べ、約80%の評価になります。
つまり土地評価額20%オフということです(売買をするときには損になりますが、相続だけを考えると得になります)。

建物は、固定資産税としての評価額がそのまま相続税の評価額になり、建築費の60%まで下がるといわれています。
これが木造アパートだとさらに評価額がダウン、大きな節税効果が得られます。

多くの地主さんがとっている典型的な相続税対策です。
所得税、固定資産税の節税にもつながります。

【注意点】
賃貸物件は、管理に関して手間も費用もかかりますし、文中に記載した通り、使用が制限されるため、売買の際には不利に働くこともあります。
また、「ポイントその3」にも関係しますが、借入をおこして建築する場合は、当然のこととして「借入金の返済」が必要となってきます。
この対策を実行するうえで、「将来を見越して、いかに収益性の高い物件を建てることができるか」がとても重要な検討課題となってきます。

ポイントその3 返済可能な借金を多く作る

借入金の残額は全額債務控除となるので、相続税を大きく減額する効果があります。

更地に建物を建てる時に借金をすると、さらに効果的な相続税対策となります。
ただしその借金は返済可能なものでないと、返済に苦労することになってしまうので注意が必要です。

ポイントその4 相続人を増やして税率区分を下げる

相続税は相続人を増やして、一人当たりの相続額を少なくし、低い税率区分にあてはまれば、納税額をがくんと減らすことができます。

また相続人が一人増えるごとに基礎控除額が600万円追加されます
つまり、相続人の数を増やすことで全体の相続税を減らすことができるのです。

どうやって相続人を増やすかというと、「養子縁組制度」を活用します
養子縁組をすることで、相続人の相続分が細分化されます。
民法上は、養子縁組は何人でも可能ですが、相続税法では、実子がいる場合には養子は何人いてもまとめて一人になり、600万円の基礎控除額の加算が認められます。
実子がいない場合は2人まで認められ、基礎控除額は1200万円になります。

このほかにも、生命保険と退職金の非課税枠(法定相続人一人500万円)が増えます。

【注意点】
「法定相続人が増える」ということは「遺産をもらう権利のある人が増える」ということです。
言い換えると「遺産分割でもめる可能性も増える」ということになります。
遺言等を活用し、「遺産分割対策」をしておく必要があります。

ポイントその5 納税資金として生命保険と自己株式を活用する

ポイント1~4を実践しても多額の税金がかかってくる場合もあります。

そこで地主さんの場合、納税資金にあてる目的で大口の生命保険に加入するのが一般的です。

相続が発生するとすぐに現金が用意できますし、保険の掛け金を払うことで、相続財産を減らすことにもなります。

また、会社を経営している場合は、会社の株式を活用するという方法もあります。
会社の内容が優良であればあるほど株価も高くなりますし、その高い株価に対して相続税が課税されてしまいます。
また、未上場会社の場合は、一般市場性のない株式ですから、売りたくても売ることができません。

これについては商法の改正により、自分がオーナーであった会社に一定量の株式を買わせることができるようになりました。
つまり、株式を相続した遺族がその株式を会社に売却し、その売却資金を使って、納税を行うということが可能になったのです。

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